世界観共有企画「西京PROJECT」の世界観をお借りした、企画内企画の一種です。錬金術と騎士の国、ゴール王国の物語をどうぞお楽しみください。

錬金術について

 現在このゴール王国で、現代の科学に代わり盛大な発展を遂げた技術。それが、科学の祖と言われる「錬金術」です。

錬金術の起源

 遥か昔、魔法や魔術という不思議な力が発展していた頃。それらを使えない人間たちは、別の方法で万物が生成できると信じ、努力と閃きで遂にそれを成し遂げました。
それが硫黄、水銀、塩で四大元素に術式を描き発動させる、錬金術という名の科学です。
やがて錬金術の発展は街を作り、階級を作り、ついには一つの王国を作るまでに至りました。錬金術の恩恵を受けたその王国こそが、ゴール王国です。

錬金術の理論と錬金術師

 科学の祖たる錬金術が、若干のファンタジックな変容を経てこの王国では発展しています。
地、水、火、空気の四大元素を元として描いた錬金術式から、理論上は「万物を生み出すことが出来る」のです。
しかし「無から有は生まれない」質量保存の法則が効いていることもあり、その場の四大元素の量で錬金術の効能は左右される傾向にあります。元素を含まないものは触媒に使用できず、変換することも不可能です。ブリテンで使われるような魔法とは違います。
科学技術の一種であるため、誰でも扱おうと思えば使えるはずではありますが、何しろその理論の全容を理解することが困難なため、効果の大きい錬金術ほど扱える人口が減っていきます。

 錬金術の基本形は、四大元素の科学術式を触媒そのものに描き、術を発動させる流れです。
術式を描くために、硫黄、水銀、塩のどれかをインクに使う「筆記具」が普及しており、それを用いれば空中、水面、地面、あまりやる人はいないでしょうが炎中にも術式が描き出せます。
 術式に組み込んだ内容で出現するもの、およびそれの形態が完全に決まってしまうため、後だしじゃんけんは出来ない仕様なのが玉に瑕です。
高度で強力なことをしようとするほど術式も長く複雑になっていくため、専門的に学んでいない一般人がそこまでやるのは難しいのです。
ということで、術式をあらかじめ彫りこんだ装身具などを使うことで、簡単な術式だけしか使えずともある程度は術を使えるような技術も開発され、普及しています。
しかし、効力は直接描いたものよりはいくらか劣ります。

 錬金術は、この世界における「科学技術」の一種です。ゆえに誰でもどこでも、必要な触媒と錬金術式があれば錬金術は使うことが出来ます。
ただ、錬金術使用免許を持たない一般人が、一般教養(ここでは、例えるならば現代日本の中等教育機関で習う理科・化学を指します。)
の範囲内でそこまで強力な錬金術を使うことはできません。中学生・高校生レベルの理科・化学の知識では、爆弾を作ることが普通は大変難しいのと一緒です。

 錬金術師は上記のような術を研究・実験・発展させ、この世に貢献することを目的に働いています。
少なくとも、国家錬金術師たちはそういったスローガンのもと動いているようです。
騎士団の騎士たちが扱う術式入りの装身具や武器は、国家錬金術師たちが改良に改良を重ねて作った国の最先端技術の結晶でもあります。

錬金術の禁忌・制約

錬金術の禁忌
 錬金術には犯してはならない禁忌が存在します。

一つには、生命を錬成すること。
二つには、生けるものを犠牲に錬成を行うこと。
三つには、この世のものを残虐に苦しめるような錬成を行うこと。

禁忌を犯した者は錬金術師の資格・錬金術使用免許を剥奪され、監獄に収容される習わしです。
それ以外にも細かく規定があり、錬金術使用免許を持つ者はそれを常に留意する必要があります。

錬金術の制約
 錬金術はその名の通り、非金属から金を生成せんとして発展した科学です。しかし科学とて万能なわけではありません。
上記の通り、生命を生み出すことは不可能に等しく同時に禁忌です。
錬金術を扱う者は発展の礎を築いた先祖に敬意を払い、禁忌を犯すことなく、人の世の発展を願い科学の力を用いよ――と、数世紀前に錬金術の権威が書き記した著作にはそう遺されています。
 大きく自然に影響を与える、また人体に被害を及ぼす錬金術などは制限され、後者は特に固く禁じられています。
その場の生態系を捻じ曲げるほど大掛かりで強力な錬金術は、王からの許可を得たうえで、なおかつ錬金術に精通した者のみが行えるものです。
ざっくりと言えば「人に迷惑がかかる錬金術は制限されている」ということです。

つまりどういうことなの?

 錬金術を使うには
  1. まず触媒(空気、水、火、土)のどれかを用意します。
  2. 起こしたい"現象"に対応した錬金術式を思い出します。
  3. 錬金術式を、筆記具を使って触媒に書き込みます。
  4. 術式が間違っておらず、かつ触媒が足りれば書き込んだ通りの"現象"が起きます。

こういった流れです。
術式と触媒さえあれば誰にでも理論上は使えるのが錬金術の強みです。しかし複雑なことをしようとすると術式が無限大に増えていくので、そこがネックです。
そして人に迷惑がかかるような錬金術は禁止、あるいは制限されています。
また触媒にした四大元素は、現象への変換が完了した時点ですべて焼失します。(例:1リットルの水を使って1リットルの土を創り出そうとした場合、土への変換完了後に水は消失します)

重ね重ねですが、錬金術はあくまでも「科学技術の一種」であり、「四大元素と質量保存の法則」によって支えられています。極端な話、真空状態では錬金術は発動しません。元素で構成されたものでなければ、錬成することも変換することも決して出来ません。錬金術は科学であって、魔法ではないのです。

錬金術のグレード

 錬金術には、威力・影響などを鑑みたグレードが存在し、新たな錬金術式を開発した際には複数の研究者と話し合いをした上で、前述の条件を鑑みたグレードを定めることが求められます。
グレードは基本的に、下記の五段階に分かれています。グレードCまでが、一般人が錬金術の基礎知識として持っている、法律上使える範囲内のものというイメージです。
ここで言う一般人は「錬金術使用免許を取得しておらず、かつ高校生レベルの科学知識を備えた者」という意味で扱っています。

  • グレードS 専門家が細心の注意を払って使用しても多大なる影響を引き起こす可能性のあるもの。使用には土地の管理責任者および王立錬金術研究所の許可が必要となる。
  • グレードA 専門家が注意を払えば、影響を最小限に抑え、かつ被害よりも大きな利益が見込める可能性のあるもの。使用には土地の管理責任者の許可が必要となる。
  • グレードB 専門家が注意を払えば、周囲への影響を限りなく抑えることが出来る確証のあるもの。
  • グレードC 一般人が使用可能な限度のライン。グレードFよりも危険度は上がるが、一般人が使用するには普通に安全圏。
  • グレードF 一般人が使用しても何ら周囲の環境に悪影響を及ぼさないと断定されたもの。東京側の世界で言う、理科の実験レベルのものがこれに当たる。

 また、錬金術師の間では上記の五段階に加え上にグレードSS、そのさらに上にグレードT(Tabou)という階級が存在し、専門的には全ての錬金術は七段階のグレード分けがされることになります。

  • グレードT
 禁忌の錬金術。「錬金術の禁忌」に記された、生命の錬成・生命の犠牲・残虐的な性格を含む錬金術がこれに当たる。
錬金術師、特に国家錬金術師の間では決して破ってはならない禁忌として、その存在は危険視されている。使用が確認された場合、使用者は例外なく錬金術使用免許剥奪および牢獄行きとなる。
  • グレードSS
 錬金術師複数人で執り行わなければならないほど大掛かり、かつ、周囲の環境や生命に著しい影響を及ぼす危険性があるもの。
緊急時に王国全土を包み込み、外界からの接触を一切絶つことが可能な、錬金術防護壁がグレードSS錬金術の代表格である。
錬金術防護壁は錬金術師単独では決して発動できないようになっており、少なくとも五人の人間が持つ、専用の特別な錬金具が必要である。
現在その錬金具は、王立錬金術研究所所長のノエル・O・ダランベールが所持していることが確認されている。
使用にはゴール王国国王、および王立錬金術研究所所長の許可が必要。

その他

錬金術を学ぶための学校が国内には数か所あります。その中でも最大級、最高峰の大学が、首都に大きく学舎を構えるサージュ錬金術大学です。
通常学級では錬金術の基礎理論から応用までを学びつつ錬金術使用免許取得を目指し、特別学級では錬金術理論、更に高等技術を学びつつ国家錬金術師の資格取得を目指すことが出来ます。
初〜高等教育機関は各地方に散らばって存在しますが、名家の子息などは中等教育から名門校で錬金術を学ぶ者も少なくありません。
余談ですが、中等教育機関の理系の必修科目として「錬金術」があります。

錬金術Q&A

Q.現象って?
A.ざっくり言うと起こしたい状態のことです。
「金箔よ生まれろ!」とか、「炎よ龍の形になれ!」とか、「あいつの頭に当たれ水球!」とか。

Q.筆記具(ルスティロ)は、専用のものじゃなくても錬金術は使える?
A.使えません。例えば普通の万年筆のインクにうっかり塩が混入していて、授業中に空中に術式の空書きをして突然ファイヤーしちゃったら危ないですから。

Q.例えば氷を出したいなら、水を触媒に使わなきゃだめなの?
A.いいえ。起こしたい現象がそのエレメントに属していなくても現象は起こります。炎から水を生み出すことも、大地から氷を生成することも可能です。ただ難易度が高いです。

Q.↑の続きなんだけど、なんで難易度が高いの?
A.難易度が高い=一般人には扱えない(非常に扱いづらい)、ということです。
現代世界で例えてざっくり言うと「高校生レベルの化学の知識のみで核爆弾は作れないよね?でも勉強して技術を学んだ科学者なら作れるよね。」ということです。要は技術の差です。

Q.筆記具(ルスティロ)はゴールでしか流通してない?国外には持ち出し禁止?
A.ゴールでしか流通していないです。理由は後述してあります。筆記具を作る老舗の職人さんもいますので、ゴールの建国祭ではお土産として売っていたりしますが、正直国外の人には、持っていても普通の万年筆のような使いみち以外はないと思います。筆記具があっても術式を知らなければ意味がないものなので。
錬金術師が筆記具(ルスティロ)や錬金具を国外に持ち出すことは可能です。国外での錬金術の利用には、王立錬金術研究所所長の許可が要ります。

Q.ゴールの錬金術技術は国内持ち出し可なの?
A.錬金術の技術の多くは国内に秘蔵されているので、国外に持ち出されないよう規制がかけられています。トメニアが亜人化手術の技術を国外に公開していないようなものです。技術を有するのが国のみなので、必然的に筆記具(ルスティロ)はゴールでしか作られません。
タグ

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます